人が来ないのは、求人媒体のせいだけじゃない

「応募がない」「入ってもすぐ辞める」「フリーランスに流れる」
この悩みは、景気や流行よりも “雇用の設計” の影響が大きいです。

経営学でいうと、採用はコストではなく 投資(人材ポートフォリオ)
そしてマーケティングでいうと、採用は 集客と同じ“ファネル” です。
応募が来ない店は、ほぼ例外なく 入口(魅力)か、途中(期待値)か、出口(定着) のどこかで詰まっています。


退職の正体は「待遇」だけではない(心理学の3要素)

人が辞める理由は、現場では「給料」「休み」で語られがち。でも本質はこれ。

①期待値ギャップ(心理的契約の破綻)

面接で聞いた話と、入社後の現実がズレると信頼が壊れます。
ズレた瞬間から、スタッフの頭の中では「辞める理由探し」が始まります。

②成長実感がない(自己決定理論)

人は「成長している感覚」があると続きます。
逆に、成長が止まると“いつ辞めてもいい”状態になります。

③公平感がない(エクイティ理論)

同じ努力なのに評価が曖昧、指名が取れないのに同じ扱い…
この“モヤっとした不公平”が、定着を壊します。


行動経済学:店側がハマる罠

  • 現在バイアス:目先の人手不足で、急いで採ってしまう
    →ミスマッチ→教育コスト→現場崩壊→さらに辞める(負のループ)
  • 損失回避:「厳しくすると辞めるかも」で基準を下げる
    →基準が下がるほど、優秀層は来ません。店の魅力が薄くなるからです。

だから必要なのは、気合いの採用ではなく 採用と定着の“ルール化” です。


解決の型:採用・定着を3ステップで仕組み化する

ステップ1:採用ターゲットを1人に絞る(ポジショニング)

「誰でも歓迎」は誰にも刺さりません。
たとえば、

  • 子育てと両立したいママ美容師
  • デビュー最短で伸びたい若手
  • 指名を作りたい中堅
    どれを主軸にするかで、求人コピーも働き方も全部変わります。

ステップ2:期待値を揃える(入社前に“現実”まで見せる)

面接で必ず言語化する項目は3つ。

  • 1日の流れ(忙しい時間帯・掃除・練習の扱い)
  • 評価基準(何ができたら昇給/デビューか)
  • ルール(遅刻・無断キャンセル対応・SNS発信の有無など)

ここを曖昧にすると、後で必ず揉めます。

ステップ3:成長ロードマップを「週単位」で作る(教育の見える化)

定着は“居心地”ではなく 成長の実感 で決まります。
例:入社後8週間のロードマップ

  • 1〜2週:接客基礎と店の型
  • 3〜4週:技術の型+合格基準
  • 5〜6週:入客の段階設計(不安を潰す)
  • 7〜8週:指名化の練習(提案・再来)

これがあるだけで、辞める確率が大きく下がります。


10秒チェック:今の店が詰まっている場所

✓が多いほど、仕組み化で改善できます。

  • 求人で「何が売り」か言えない
  • 面接で“良い話”だけしている
  • 評価基準が人によって違う
  • 教育が気分と忙しさで変わる
  • 仕事の負荷が特定の人に偏る
  • 店長が現場で手一杯で育成が止まる

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