美容室経営の教科書 #7 ランチェスター戦略
独立して自分の美容室を持った皆さんは経営者です。今まで技術・デザインや接客の勉強はたくさんしてきたと思います。しかし、これからは経営の勉強もしていかなくてはなりません。残念ながら美容師に経営を教えてくれる機関はありません。そこで私の経験をもとに美容室経営の教科書を作りましたので、競合の多い美容業界を勝ち抜くヒントにしていただけたら幸いです。
ランチェスター戦略

こんにちは!今日は経営戦略を立てる上で重要な3つの分析方法の最後第三弾ランチェスター戦略について勉強していきましょう!

今日のゴールは#5回 3C分析、#6回 SWOT分析そして今回の「経営戦略を立てる上で重要な分析方法」から学び、自社・自店の経営戦略を立てること!です。
よろしくお願いします!

お願いします!

以前にもお伝えしましたが、美容室は全国に約24万4000件あります。競合の多い業界で勝ち残っていくためには戦い方が重要です。ランチェスター戦略をご存知でしょうか?

ランチェスター戦略?聞いたことあるような・・ないような・・。

ランチェスター戦略とは第一次世界大戦の分析から生まれた戦い方で、
一騎打ちの接近戦では「数が同じなら1人の力が高いほうが勝つ」という第一法則の「弱者の戦略」と「武器の性能が同じなら数の多いほうが勝つ」という第二法則の「強者の戦略」があります。

ふ〜ん。

この法則はビジネスにもよく当てはまり、戦略を考える上での基本とされています。
突然ですが、もし、ぱん太さんのお店の近くに大手美容室が出店してきたらどうなりますか?

ええっ!絶対お客さんとられて困ります!ほんとに困りますぅ!

では、ぱん太さんがよく行くなじみの個人店の飲食店はありますか?

よく行くラーメン屋がありますけど。

その近くに大手ラーメンチェーン店が出店したとします。そちらに行きますか?

う〜ん・・、行かないかなぁ・・。

それはなぜですか?

そこはとにかくスープが美味しいんですよぉ!店主もいい人で。

まさにそれがランチェスター戦略です。その店独自の味で勝負して、その地域のお客さんをつかんでいますよね?もし大手チェーン店と同じ味なら負けるはずです。大手の方が資金力があり、コストを下げられるので安く提供でき、広告宣伝もたくさんできるので。

確かにそうですね。

美容室も同じで、大手と同じ土俵で戦ったら負けるので、お店独自のものが必要となります。

でも美容室の場合、独自の技術って難しくないですかぁ?

確かにそうですね。でも、独自性は味や技術だけではありません。もし先程のラーメン屋と同じ味、同じぐらい店主も良い人で、いつものお店より100円安いラーメン屋がぱん太さんの家の隣にできたらどうでしょう?

同じ味なら安いし、近いし、そっちに行くかもしれませんね。

そうなりますよねぇ。つまり、値段や場所も独自性になるということです。

なるほどぉ。

ランチェスター戦略での「弱者の戦略」の基本は、選択と集中です。
どんな顧客に、どんな場所で、どんな技術を使って、どんな値段で、どんな価値を提供するのかを決めて(選択)、そこに持っている資源(人、もの、金、情報、時間)の多くをかける(集中)ことで勝つ確率が俄然高くなるということです。
これを「事業のポジショニングを決める」とも言います。

事業のポジショニングの決め方は、3C分析やSWOT分析で出した自社・自店の特徴をもとに、どこで戦えば優位に立てるのかを考えて決めます。

以下の4つのテーマをもとに決めると良いでしょう。
【事業のポジショニングの決め方】
市場 ・・・国、地域、業界、商圏など
顧客・・・世代、性別、嗜好、顧客ニーズ、購買力など
技術・・・差別化、優位性、コア技術、ノウハウなど
価値・・・サービス、機能、商品価値など

例えば1000円カットのお店は
市場・・・駅中、商業施設内など
顧客・・・男性、30代〜、隙間時間を有効活用したい、ササっとやって欲しい
技術・・・スピード重視、無駄のないオペレーション
価値・・・短時間で安く、清潔感のあるヘアースタイルになれる
の様なことです。

確かにそういうポジショニングですね。

では、3C分析・SWOT分析・ランチェスター戦略から、
「〇〇のポジションで、〇〇の実現を目指して、〇〇の優位性を発揮し、〇〇に対して、〇〇を提供していく」
といった様な経営戦略を立てましょう。

はい!

最後に今日のまとめです!
今日のまとめ
・ランチェスター戦略とは
「数が同じなら1人の力が高いほうが勝つ」という第一法則の「弱者の戦略」
「武器の性能が同じなら数の多いほうが勝つ」という第二法則の「強者の戦略」がある。
・「弱者の戦略」の基本は、選択と集中
どんな顧客に、どんな場所で、どんな技術を使って、どんな値段で、どんな価値を提供するのかを決めて(選択)、そこに持っている資源(人、もの、金、情報、時間)の多くをかける(集中)ことで勝つ確率を上げる。
・事業のポジショニングの決め方
市場 ・・・国、地域、業界、商圏など
顧客・・・世代、性別、嗜好、顧客ニーズ、購買力など
技術・・・差別化、優位性、コア技術、ノウハウなど
価値・・・サービス、機能、商品価値など
・3C分析・SWOT分析・ランチェスター戦略から、
「〇〇のポジションで、〇〇の実現を目指して、〇〇の優位性を発揮し、〇〇に対して、〇〇を提供していく」
といった様な経営戦略を立てる。

今日はここまで!お疲れ様でした!

ありがとうございました!
