美容室経営の教科書 #11 原価

独立して自分の美容室を持った皆さんは経営者です。今まで技術・デザインや接客の勉強はたくさんしてきたと思います。しかし、これからは経営の勉強もしていかなくてはなりません。残念ながら美容師に経営を教えてくれる機関はありません。そこで私の経験をもとに美容室経営の教科書を作りましたので、競合の多い美容業界を勝ち抜くヒントにしていただけたら幸いです。

原価

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先生

こんにちは!今日は原価について勉強していきましょう!

先生

今日のゴールは原価・原価率・売上総利益率(粗利率)を知ること!です。

よろしくお願いします!

ぱん太

お願いします!

先生

さっそくですが、ぱん太さん。

前回の復習です。美容室における原価とは何ですか?

ぱん太

はい。カラー剤やパーマ剤などの材料費店販商品の仕入れにかかった費用です。

先生

素晴らしい!その通りです。

その月に「使うか」や「売れるか」は関係なく、その月に仕入れた金額がその月の原価になるとお話しさせて頂きました。

先生

では、ぱん太さんのお店の原価率は何%ですか?

ぱん太

原価率?何%だろう・・?考えたこともないです。

先生

原価率とは総売上に占める原価の割合を表します。

美容室経営で利益を残すために重要な項目は人件費地代家賃原価(材料費)です。

他にも色々と費用はかかりますが、その中でもこの3つが大きな割合を占めています。

極端にいうと、割合の低い項目を一生懸命押さえても残る利益にあまり影響しません。

割合が大きいということは掛かる費用も大きいということなので、割合の高い項目を見直さないと利益を残すことはできないのです。

まず、割合の高い項目を見直し、その後低い項目も見直していくと良いでしょう。

前回学んだ売上総利益(粗利)が売上から原価を引いた最初の利益となります。

ですので、原価から学んでいきます。

ぱん太

わかりました。

先生

結論から言うと、原価率は15%以内を目安にしましょう。

これは総売上(技術売上+店販売上)に対しての原価なので、カラー・パーマの材料と店販商品の仕入れを合わせた全ての材料費です。

計算方法は、

原価(全ての材料費)÷ 総売上(技術売上+店販売上)✖️ 100 = 原価率

ぱん太

原価の金額ではなく比率が重要なんですか?

先生

良い質問です!金額ももちろん重要ですが、お店の規模(大きさ)によって売上は違いますよね?

ぱん太

はい。

先生

売上規模が違えばが原価の金額も違います。そうなると、比較できなくなってしまうのです。

例えば、

A店は売上500万円、原価50万円、原価率10%

B店は売上250万円、原価50万円、原価率20%

どちらも原価は50万円ですが、原価率が全然違いますよね?

ぱん太

確かに!倍違いますね。

先生

では、同じ原価率にしてみましょう。

A店は売上500万円、原価率10%原価50万円

B店は売上250万円、原価率10%原価25万円

となります。

つまり、B店は売上規模に対して、25万円分多く仕入れすぎているということがわかります。

ぱん太

なるほどぉ。

先生

次に技術売上に対しての原価店販売上に対しての原価の違いについてご説明します。

先生

では、ぱん太さん、技術売上に対しての原価とは何だと思いますか?

ぱん太

カラー剤やパーマ剤の材料費ですよね?ん・・技術は人がやるから人件費もかなぁ・・?

先生

迷う部分ではありますが、原価は単純に材料費のみを指します。人件費などは今後学ぶ、販売管理費に入ります。

ぱん太

そうなんですねぇ。

先生

例えば、カラー剤1本(800円)使って、カラー料金8,000円でお客様を施術したとします。この場合、(オキシ代は無視)(売上総利益=粗利)

売上8,000円、原価800円、原価率10%、粗利7,200円、粗利率90%

粗利率とは、粗利÷売上で計算され、売上に対して何%が利益になるかを指します。

カット4,000円は原価0円、原価率0%、粗利率100%になります。

ぱん太

すごい粗利率が高いですね!すごい儲かりますね!

先生

美容室のような業態はこの粗利率は高くなります。そこから販売管理費を引いて営業利益となります。美容室の場合、この販売管理費が大きいので、結果残る額はそれなりになります。

ぱん太

そうなんですねぇ。

先生

実際には、カットやカラー、パーマ、トリートメントなど売上になるメニューはいくつかあります。それらの原価を平均すると技術売上に対しての原価はだいたい8%〜10%になります。

もちろん、使っている商材の価格やメニューの単価によって変わりますが、もし超えているようでしたら見直しが必要です。

先生

次に店販売上に対しての原価です。

これは単純に仕入れ金額が原価です。

例えば、

販売価格5,000円、原価(仕入れ値)3500円の場合、

売上5,000円、原価3,500円、原価率70%、粗利1,500円、粗利率30%

となります。

ぱん太

粗利率30%?技術売上の粗利率とぜんぜん違いますねぇ。

先生

そうなんです。基本的に店販売上に対しての原価率は70%がほとんどです。7掛け(なながけ)と呼んだりします。

ぱん太

あんまり儲からないですねぇ。

先生

そうですね。

ただし、店販商品は人をかけずに売上を上げられるというメリットがあります。

ぱん太

人をかけずに??

先生

技術売上は誰かがカットしたり、カラーを染めたりしないといけないですよね?

そして時間もかかります。

しかし、店販商品はそれがいりません。店販商品だけ買いにくるお客様もいますよね?

お会計だけの数分で何千円の売上が立つのです。

ぱん太

確かに!いますね、そういうお客様。

じゃあ、店販売上が高い方がいいんですね?

先生

それが、そうとも限らないです。

先ほど言ったように粗利率が低いので、販売管理費を引くとほとんど営業利益が残らないなんてことも起こります。

ぱん太

そぉかぁ。

先生

しっかり利益を出すのに、大事なのは技術売上と店販売上のバランスです。

お店にもよりますが、基本的なバランスとして技術売上の10%の額を店販売上で作ることを目安とすると良いでしょう。

例えば、

技術売上500万円なら店販売上50万円総売上550万円

といった感じです。

ぱん太

なるほどぉ。

先生

このようなバランスだと、例えば、

総売上550万円、技術売上500万円、店販売上50万円なので

技術売上の原価 = 技術売上500万円 × 原価8% = 40万円

店販売上の原価 = 店販売上50万円 × 原価70% = 35万円

原価の合計 = 40万円 + 35万 = 75万円 となり、

原価率 = 原価75万円 ÷ 総売上550万円 × 100 =13.6%

となります。

冒頭でお伝えした「原価率15%以内を目安に」ということです。

ぱん太

勉強になります!

先生

最後に今日のまとめです!

今日のまとめ

・原価とは?

カラー剤やパーマ剤などの材料費店販商品の仕入れにかかった費用

・原価率とは?

総売上に占める原価の割合

原価(全ての材料費)÷ 総売上(技術売上+店販売上)✖️ 100 = 原価率

技術売上に対しての原価率の目安は8%〜10%

・店販売上に対しての原価率の目安は70%

技術売上と店販売上のバランス

技術売上の10%の額を店販売上で作ることが目安

・総売上に対しての原価率の目安は「原価率15%以内」

先生

今日はここまで!お疲れ様でした!

ぱん太

ありがとうございました!

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